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真言宗豊山派佐渡宗務支所八十七番 照光寺住職 奥野俊英と申します。
 節分会「豆をまいて悪を払う」ということをお話しさせていただきます。
 節分とは季節の分かれ目ということで、立春、立夏、立秋、立冬の四つの節分があったが立春だけで行われるようになったのは、寒い冬を乗り切るための春を待ちわびることから元気づけに行われるようになり、現在は二月三日となっています。
 節分に「鬼は外福は内」とは外の鬼という意味だけではなく、私たちの心の中の鬼ということもできます。
 悪い心は鬼でして、良い心は福ということになります。悪い心を追い出して、良い心を育てていくことを誓うことの意味にもまるでしょう。
 豆を自分の歳の数だけ食べるというのは、豆な人間になる、どんなことも精を出して、こつこつ努力していく根性を目指すということにもなると思います。
 今家族の危機の時代と言われています。家族のきずなを強めるものとして、むかし多くの行事がありましてが、今はだんだん少なくなってきています。
 家族がみんなで力を合わせて行う行事を大切にしていくことを、今改めて考えなおしていくことが必要なことです。皆が健康で心豊かな家族全員の協力関係が必要です。
 家族を捨てればあとは地獄の道しか残っていません。この世で最も不幸な生き方ということになります。
 先ずそれを避けたいということが第一の願いであったのです。それだけに真摯に祈ったわけです。面白がって豆をまいたのではなくて、どうかお願いしますと必死になってお祈りをしたのです。
 現代でも災難を少なくし、そのようなことがなくなるような社会をかえていくということが目指されています。流行り病や自然災害を少なくしていくことができても、現代では新たな災難が数多く起こってきています。
 災難をなくし社会の治安をよくしていくことの基本は「心の鬼をなくし心を福にしていく」ことではないでしょうか。
 悪縁を断ち切り良縁を招いていくということでもあります。
 身近なことから、よき縁を作り出していくことを願うことが、節分の日の心構えではないかと思います。
 「心の鬼をなくし、福の心を育てよう」と豆をまきたいものです。

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