テレホン法話(平成29年3月)

 今月は来迎寺が当番月なので、お話したいと思います。
 人として生まれたからには、必ず通る道が死の世界(あの世)であ
り、人の運命・定めだと思います。では、人は死んだらどうなるのでし
ょうか。いきなり極楽・地獄へと行くのでしょうか?
 仏教の考えでは、亡くなった瞬間にはまだ行き先が決まっている
わけではありません。人は亡くなると、四十九日の旅にでるとされて
います。これがいわゆる「冥土の旅」です。この四十九日を「中陰(
ちゅういん)」や「中有(ちゅうう)」と呼びます。
 経典によると「四有(しう)」という言葉があります。四有とは、
「生有(しゅうう)・本有(ほんぬ)・死有(しう)・中有(ちゅう
う)」四つです。

 ●生有・・・・母の胎内で生を受けた瞬間
 ●本有・・・・生きている間
 ●死有・・・・死ぬ瞬間
 ●中有・・・・死んでから次の世界に生まれるまでの間

 中有とは、どこにいくのかまだ決まってない「陰(いん)」の状態
であることから、一般には中陰(ちゅういん)と呼ばれています。人
間はこの四有を繰り返しながら生まれ変わっているという考え方です。
 日本では昔から中陰の思想は定着していました。実際、日本人は亡
くなった時、葬式を済ませたら、それでおしまいではなく、一周忌・三
回忌、という様に法事やお盆・彼岸のお墓参りを行うと思います。
 では、仏教での行き先は六道という六つの道に分けられ、それぞれ
天上界・人間界・修羅界・畜生界・餓鬼界・地獄界とされています。
死後四十九日間の間に六道のどこかに行く先が決まるとされていま
す。いかに四十九日間が大切か見えてきます。誰しも身近な人が亡く
なったら来世での幸福を得てもらいたいと願うでしょう?
 特に日本人は人は亡くなったら人間に生まれ変わる考え方を持っ
た種族です。

 六道の六つを見た時、ふと気付いた人はいませんか?
地獄界から天上界まで階級になってますね~!さらに今の生活から
も、六道の世界観は見えてくると思います。
生活の一部には六道や仏教の世界観は溶け込んでいます。
 例えば、ご飯を食べる時「いただきます」という言葉がありま
す。これも言わなくなってきていませんか?どうでしようか?
 この「いただきます」の本当の意味は仏教からきており、こう伝
わっています。「あなたの体の一部をいただきます」という言葉が
元々ついていました。 あなたのおかげで私が生活でき、ありがとうご
ざいます。という意味です。
環境破壊・地球温暖化・天変地異(地震・台風)など、すぐそこ
に地獄の入り口が開こうとしている。と考えてもいいと思います。六
道は身近にあります。
 このような事から日頃から感謝や「ありがとう」という言葉を素直
に言える様心掛けて、亡くなった時に、人間界にまた戻りたいと思い
日常生活を送りたいと思います。   
                           合掌

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