テレホン法話(平成26年8月)

私は、真言宗豊山派佐渡宗務支所テレホン法話8月担当の清水寺住職 池田 英雅と申します。
今も昔も、多くの人達が四国88ヶ所霊場を巡拝されています。お遍路さん一人一人が何を求めお遍路されているのか…それは、弘法大師、空海、お大師様に出会う爲お遍路されていると言っても過言ではないでしょう。
お遍路では「同行二人」と言って常にお遍路さんと一緒にお大師様が現世に現れ巡拝されていると伝えられています。弘法大師をモデルに映像化された「空海」という映画では、ラストシーンにお大師様を演じられた俳優さんが、現在巡拝されているお遍路さんの一団の後方で、その一団をご加護するかのように一緒に巡拝されている…といった演出がされています。
では、一体お大師様は本当にお遍路団のどこに存在し一緒に巡拝されているのでしょうか?
その答えは、お遍路さん一人一人の心の中にお大師様は存在しています。それぞれ各人の心の中に、その心に安らぎを与え、存在しています。
それと同様に今この法話を聞いているあなたの心にも、お大師様は存在しています。そして誰の心にも平等にお大師様は存在し、私たちの心の安寧を導いてくれています。仏さまが心の中に存在するのです。
この心の作用を仏心といいこの心に気づくことが菩提心(無上正等正覚)を発すといいます。
自分の心の中の仏心に気づいたならば、同じ仏心を持った他人に対し、優しい言葉を掛け気遣うことの大切さ、そしてそのことは仏様に帰依することと同じことだということにも気づくことでしょう。
他人を気遣い優しい言葉や慈しむ態度で協力、支援し、いじめや差別を無くすことこそ我々僧侶の本当の仕事であり、それを伝えることこそ布教であると私は信じています。
「開け心の曼荼羅」これは我が真言宗豊山派のスローガンであります。今こそ皆様も自分の心の中にある大いなる慈悲の心、仏心に気づき、菩提心を発し、いじめや差別のない社会を築くことに協力しましょう。上無く正しく等しく正しく覚ること(菩提心を発す)の大切さを知ってください。

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