テレホン法話(平成26年12月)

真言宗豊山派佐渡宗務支所管内の私は城腰の不動院住職の中浜尚文です。
この度お話をする機会を頂きましたので、十三仏について、お話をさせて頂きます。
 真言宗のお葬式や法事でよく使われる十三仏は、十王経をもとに室町時代に日本で作られた冥界の審理に関する十三の仏であります。また、十三回の追善供養、初七日から三十三回忌をそれぞれ司る仏様としても知られ、あらゆる仏事に飾る風習が伝えられました。十三仏とは、閻魔王をはじめとする冥途の裁判官である十王とその後の審理を司る裁判官の本地とされる仏であります。これらの仏は審理において実際の裁判所における裁判官の役目を勧めることとなるとされています。また単に死者を裁くのではなく、時には弁護士のように救いの手を差し伸べます。
 初七日の仏、不動明王は亡者を守護し、どうしてよいかわからない不安な霊魂を叱咤激励して先導します。二七日、釈迦如来は長い仏門修行の旅の説明をします。三七日、文殊菩薩は極楽世界へ行くための知恵を教えてくれます。四七日、普賢菩薩は六道に迷う心を慈悲心で救い、悟りの世界へ行く知恵を与えてくれます。五七日、地蔵菩薩は六道に落ちている大衆の仏心を呼び覚まし、平等に徳を与えてくれます。六七日、弥勒菩薩は亡者の苦悩を取り除いてくれます。四十九日、薬師如来は死者の生前の未練を断ち切り、満中陰の法要によって、新たな修行へ導きます。百ヶ日、観音菩薩は強い慈悲心で亡者を救済し、餓鬼道を彷徨う亡魂を救います。一周忌、勢至菩薩は亡者に菩堤心を与えてくれます。三回忌、阿弥陀如来は極楽世界への往生の仕方を教えてくれます。七回忌、阿閃如来は修行の総監督として強い菩提心を植えつけてくれます。十三回忌、大日如来は悟りの世界に導いてくれます。そして三十三回忌、虚空藏菩薩は、涅槃にたどりつかせ、永遠の宇宙の命として、祖霊に導いてくれます。
十三仏とは、日本古来の先祖崇拝と仏教の追善供養が習合し、先祖供養を大切にしてきた日本仏教の象徴です。ですから、自宅で葬儀や法事に使われる十三仏の掛軸は家宝であり、先祖代々に渡り大切に保管されています。
 ご清聴頂き、有難うございました。

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