テレホン法話(平成27年6月)

6月の担当は橘定福寺の平井です。『今命あるは有り難し』という題でお話させていただきます。
 昨日と言う日は、過ぎ去ってしまい戻ることは出来ません。明日と言う日はまだ来ません。だから、今日と言う一日を精一杯生きなさいとお釈迦様はおっしゃっています。
それは法句教というお経の中で「人の生を受くるはかたく。やがて死すべき者の。今、生命あるは有り難し。」と説いています。
この世に人間として生まれてくることはどれだけ大変なことであるか。間違っていれば虫か、動物か、又は他の世界に生まれていたかもしれません。そして、生まれたからには、やがて死ななければならない。今現在、生命があって一日一日を過ごせることは大変ありがたいのですよ。だからこそ、一日一日を力いっぱい生きて行く、一日一日を無駄の無いように心掛けてくださいねとおっしゃています。
 今を生きるということは、今を大切にするということです。それは、今生きていることが大勢の人々や生き物のおかげにより、自分が生かされていることに気付くことで、豊かな人生を過ごすことが出来るのです。
 今を不安に過ごしてしまう人は、過去の不幸や、自分の思い通りに行かなかった事、将来の不安や心配にとらわれて、今を暗い気持ちで過ごしている。
などが考えられます。
しかし、あまりこだわり過ぎると本来一番大切にしなければならない今日と言う一日を無意識に過ごしてしまいがちです。今現在の問題を一つ一つ解決して行くしかありません。
 これによって、充実した過去を作るのも、豊かな未来を望むのも、今をどう生きるかにかかっています。
 真言宗の宗祖弘法大師空海さまは、迷いと悟りについて「迷悟(めいご)己にあり、執なくして到る。」と説いています。
迷いも、悟りも、両方がわたしの心の中にあるのです。迷いの原因となる執われを捨てれば、悟りの世界にいたることができるのです。
迷っている原因は何かにとらわれているから。一つ一つ除いていけば、知らず知らずのうちに仏の道を歩いているものです。
 一日一日を自分自身の仏さまを磨く修行とおもい、精進してください。
 最後に宗祖弘法大師さまのご宝号「南無大師遍照金剛」を三遍唱えて終わりといたします。
 ・南無大師遍照金剛  ・南無大師遍照金剛  ・南無大師遍照金剛
ご清聴ありがとうございました。

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