テレホン法話(平成27年7月)

 真言宗豊山派佐渡宗務支所下の真楽寺住職、金子大真と申します。
「地蔵信仰」についてお話させていただきます。
真言宗の仏さまは、大日如来を中心にいろいろな仏さまがおられます。
中でも、地蔵菩薩は多くの人に「お地蔵さま」とよばれ、親しまれてい
る仏さまです。
 これほど多くの信仰があるのは、地蔵菩薩の功徳が現世と来世にわた
っていることが理由の一つにあげられています。
 『地蔵菩薩本願経』によれば、「お釈迦さまが入滅後、弥勒菩薩が五
十六億七千万年後までの無仏の間、人々の救済は、地蔵菩薩がひきうけ
る」とあり、現世と来世で苦しむ人に代わって、その苦しみをひきうけ
るという代受苦が示され、地蔵菩薩の本願として、
 ・土地が豊穣で作物に恵まれる。
 ・家内が安全である。
 ・亡くなったら極楽に生まれかわる。
 ・現世ではできるだけ長生きできる。
 ・願い事がよくかなう。
 ・水や火の災難がない。
 ・過ちやさわりを除く
 ・悪い夢をみることがない。
 ・旅に出ても無事である。
 ・仏にめぐり会うことができる。
この十の誓願をたてていると示されています。
 こうした経典の内容から、地蔵菩薩は救済者として基地や災害現場、
水子の供養などで建立され、深く真仰されています。
この地蔵菩薩に、死後の世界の救済をお願いしようと生まれたのが、
六地蔵信仰です。
 死後の苦しみの世界は六つあり、下から順に、
 ・自らの貪り、怒り、愚痴により希望を失って呻吟する出口のない地
  獄の世界。
 ・飽くなき欲望に身を焦がす餓鬼の世界。
 ・本能むき出しの畜生の世界。
 ・他を責め、自分を守ろうとする修羅の世界。
 ・苦楽相半ばの人の世界。
 ・自己満足で舞い上がる元の世界。
この六つの世界を六道といい、この六道をさまよう者を仏の悟りの世界
に導いて下さるのが六地蔵菩薩です。
 お墓参りの際などには、まず、六地蔵尊にお参りし、感謝を捧げるこ
とが良いでしょう。
 地蔵菩薩は、死者の救済と共に、生きている人々を救うことにあるの
ですから、苦しみや悲しみ、悩みや迷い、そして願いを祈れぼ、きっと
お地蔵さまは、それをうけとめ、我々を見守って下さることでしょう。
 ご清聴ありがとうございました。

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