佐渡宗務支所44番 長松寺住職 中浜浄太と申します。今日は真言宗におけるお墓、お仏壇、お位牌についてお話させていただきます。
真言宗の御檀家さんがお墓やお位牌を新たに作る場合、梵字「ア」字を入れます。これは真言宗の本尊である「大日如来」さまを象徴する文字で、お墓の場合「○○家之墓」「先祖代々之墓」の前に、お位牌の場合は亡くなった方の戒名の前に「ア」字をいれます。そして完成したら菩提寺の住職様に「開眼(かいげん)法要」を行っていただきます。開眼とは、仏様の目を開くという意味があり、お寺様より読経していただくことによってはじめて、お墓やお位牌が大日如来さまの徳を備えた仏塔へと生まれ変わりますので、必ず行いましょう。
お墓やお仏壇をリフォームしたり、お洗濯をする際は、魂抜きの読経、正式には「発遣(はっけん、あるいは ほっけん)法要」を行います。「発遣」とは「仏さまを本来の世界へお送りする」ことで、リフォームの際には、こちらも事前に執り行うようにご住職様に依頼してください。
たまにお位牌を作ったけれど、特に何もしていない、お墓やお仏壇をリフォームして、工事前に読経はしたけど、完成後の開眼法要の依頼がない、といったお寺様の話も聞きます。事前に菩提寺の住職様とよく相談してから行いましょう。
お仏壇を新たに購入するときは、真言宗の場合「大日如来」さまをご本尊とします。ただし、昔から阿弥陀如来さまや、観音さまなどがご本尊としてまつられていた場合は、そのままでも結構です。大日如来さまは宇宙の中心となる仏さまで、阿弥陀如来さまやお釈迦さま、観音さまも大日如来さまが姿を変えたものと考えられています。
宗派によって異なりますが、真言宗豊山派の場合、御本尊様の左右の脇の場所には、脇侍(わきじ)として向かって右側に弘法大師、左側に興教大師をお祀りします。
弘法大師像は右手に五鈷杵(ごこしょ)、左手に数珠を持つ姿で、真言宗を開いた空海さまのことです。
興教(こうぎょう)大師像は、両手を御衣の中に隠している姿で、真言宗の中興の祖である覚鑁さまのことです。
菩提寺のお寺参りに行くと、ご本尊様の両脇に弘法大師、興教大師さまが祀られていると思いますので、注意してご覧になってください。
一般的には真言宗というと脇侍に弘法大師さまと不動明王を祀りますが、豊山派の場合は不動明王よりも興教大師さまを祀るほうがよりよいものです。
お仏壇はお寺を小さくして自分の家に迎えたものともいわれます。一度自分の家のお仏壇にどのような仏さまが祀られているか注意して見てください。
御清聴ありがとうございました。