こんにちは、私は理性院住職の齋藤俊恵と申します。
今日は、絵本をご紹介したいと思います。「どっちーぬくん」という犬が主人公です。
《どっちーぬくん》
昨日は雨で、どっちーぬくんは、誰とも遊べませんでした。でも今日はいい天気です。『遊ぶぞ遊ぶぞ今日は、絶対皆んなと遊ぶんだワン』
最初は熊さんの所です。
『ねえー遊ぼう』
『あ、ちょっと待って。今ご飯食べてるの』
『うん、それじゃあ待ってる』
でもいつまで待っても、熊さんのご飯は終わりません。待ちきれず、どっちーぬくんは言いました。
『ご飯食べるのと、僕と遊ぶのと、どっちが大事なんだ ワン』
『え?ご飯と、どっちーぬくん どっちが大事って・・・・!えーっと』
熊さんは困った顔で考えました。
『もういい ワン』(不機嫌そうに)
どっちーぬくんは、行ってしまいました。
次はヤギさんの所です。
『ねえ 遊ぼう遊ぼう』
『あ、今絵本読んでるの。終わるまで待ってね』
でもしばらく待っても、ヤギさんは、なかなか読み終わりません。
『ねえ、まだ?』
『もうちょっとね』
『ねえ、ずい分待ってるんだけど』
『今、おもしろいところなの』
『もう、絵本と僕と、どっちが大事なの』
ついに、どっちーぬくんは怒って行ってしまいました。
『あ、カバくん、遊ぼう遊ぼう今すぐ遊ぼう。僕、もう待ってられないの』
『ごめーん、今歯みがきしてるの。もうちょっとで終わるからね』
『ワー、カバくんまで。歯みがきと僕とどっちが大事なんだ ワン』
『えっ?歯みがきと、どっちーぬくんをくらべるのかい?よわったね・・・』
『もう わかった ワン』(悲しげに)
どっちーぬくんは悲しくて走り出しました。そして、草の上に寝ころんで泣きました。
『もういいワン、今日は誰とも遊ばない ワン 僕はご飯にも、絵本にも、歯みがきにも負けたワン』
ふと見上げると、皆んなが笑って、どっちーぬくんを見ていました。
『もう、用事は終わったよ、さあ遊ぼう』
どっちーぬくんはびっくり、
『皆んなどうしたの?僕より大事なものがあったのに』
すると、皆んなが笑いながら言いました。
『友達より大事なものなんてあるわけないじゃない』
『くらべるなんて変だよ、どっちーぬくん』
どっちーぬくんははずかしそうに笑いながら
『ねえみんな、“鬼ごっこ”と“かくれんぼ”とどっちにする』
と言いました。
おわり、有難うございました。